大人が学んでいない
◇理想の学校

 「理想の学校」を追い求め続けることができる。
これが私学と公立の違いであると私は考えている。
だから、28年間動めた県立高校を辞して関智高
校の校長となることを選び取った。
 「学びの学校」を創りたい。それは、伸びたい
と思っている生徒たちだけでなく、伸ばしたいと
思っている教員も、そして、伸びてほしいと願っ
ている保護者も共に学ぶ学校である。
◇大人が学んでいない
 「ゆとり教育」への批判を契機に、子どもたち
の学びへの関心が高まってきた。もちろん、それ
はよいことである。
 しかし、「日本の子どもたちの学力が危ない」
と学力向上をマスコミが扇情し、全国学カテスト
の結果について、知事が教育委員会や市町村の首
長を叱咤する状況には知性を感じられない。
 郵政民営化のみを争点とした前回の衆議院選挙
の反動のように、民主党が308議席を一気に奪
う今回の総選挙。電車の中でゲームや漫画に興ず
るサラリーマンの姿。同じように知性を感じない。
まずは大人が勉強すべきだと思う。
 どれほど子どもの学力や教育に熱心になっても、
大人が学ばないような社会では子どもの苦労は意
味がなくなってしまう。私たち学校教育に関わる
者の責務は、もちろん子どもたちを育てることに
あるが、その先にある日本社会づくりが使命であ
ることを忘れてはならない。
◇本気の中学生たちがいる
 夏休みに実施した本校の学校説明会で、私は中
学生向けに「勉強サプリ講座」を実施した。県立
高校時代に開始した取り組みだが、本年度、関智
高校で本格的に実施し、計13回、延べ1500名
以上の中学生諸君と保護者の方に受講していただ
いた。
 「勉強サプリ」とは聞き慣れない言葉と思うが、
「人間が育つから学力が伸びる、学力が伸びるか
ら人間が育つ」という考えに基づき、自らの研究・
実践・経験を踏まえて「広義の学力」を伸ばす学
習法をまとめたものである。志や身体・生活にま
関根 均  (開智高等学校長)
で立ち返り、学びを習慣化・身体化させて自らを
変化・成長させようとするもので、当たり前の方
法だが通常の学習法とは異なる。内容を簡単に紹
介したい。テキストは開智高校のHPの「サプリ
の窓」に掲載してあるのでご覧いただきたい。
〈「勉強サプリ」の項目〉
@夢は旅。夢見る人が夢を実現する。
Aやる気は「出る」ものではなく「つくる」もの。
B人のために学ぶ。だから、頑張れる。
C今すぐ自分を変える。自分を変える勇気を持つ。
D逆も真なり。賢い顔になれば賢くなる。
E集中する方法「身体をほぐして、腹式呼吸で、
 しやっきりと」
F授業は「ねらい、メモ、反応、質問、振り返り」
G「もぎ取り読み」と「なるほど読み」
H「○△×法」なら、一目で確認できる。
Iいつでもどこでも「想起法」、「イメージづく
 り」で理解が深まる。
Eプリントも教科書もノートも「お宝もの化」。
 やっぱり、自分風、狐色。
I木を見て森見て鳥になって「全体構造法」
Iウソだと思って「夕食前勉強」、休みの日は「朝
 食前勉強」
G問題を解かなければ勉強ではない。
 だから、問題の解き方3箇条。
D最後に「勉強ともだち」と学び合い。
 参加した中学生の感想を紹介したい。
「やる気は自分の行動しだいで人は変われるもの
だと思いました。今日からがんばります。」
「勉強は自分のためじやなく、人のためにやると
いうことをこれから心にとめて勉強を続けていき
たいと強く感じた。」
 参加者全員の感想を「サプリの窓」に掲載して
いるが、彼らが「人間として伸びたい」と願って
いることがわかる。学ぶ意欲や懸念されているが、
これが本当の中学生の本心であり、学ぶ姿勢であ
る。大人よりずっとまともである。学力低下より
も、子どもたちの期待に応える学びがないこと、
手本となる大人がないことを私たちは懸念すべき
である。「学びの学校」を創らねばならない。
 不思議なことに高校2年生頃から志が急に冷
めてくる。「大人」になってきたのかもしれない。
◇誰もが成長したいと思っている
 7月に在校生保護者を対象として「親サプリ講
座」を開講した。内容は「勉強サプリ」を大人向
けにしたものである。 80名を超す参加者を得た。
「自分の歳ではすでに『夢』を失いかけていまし
とか、今日の話でまた『夢』に向かって頑張れる
ような気がしてきました。また、先生の話を間い
て、学ぶことの素晴らしさを再認識しました。ど
うちありがとうございました。」
 「『やる気』のお話にはとても共感いたしました。
『学ぶ』ということは、学生の時だけでなく、一
生持続させるということ。家庭内の雰囲気も『や
る気』が出るような環境作りに力を入れていきた
いと思います。また、身心共に健康であることが
学力向上につながっていくと思います。」
 大人も仲びたがっている。学びたがっている。
8月末に「中学生親サプリ」を企画した。学びを
求める中学生に加えて、学びを求める保護者を募
集したかったからである。学びの学校づくりへの
準備である。台風が迫りつつある日曜日であった
が、22名の方に参加していただいた。
 私たちは子どもたちに学びの姿を見せているか。
学ぶ楽しさを知っているか。学ぶ意味が分かって
いるか。「学びの先達になろう!]が合い言葉で
ある。学びは大人の責任でもある。無責任な者の
命令を間く者などいるまい。
◇教員も学ばなければいけない
 教員は概して勉強嫌いである。研修は退屈だと
言う。と言いながら、生徒には退屈な授業を強い
る。夏期休業中に全員参加の全日研修をする県立
高校はないだろう。できないと思う。
 開智高校では、夏期休業中、全員参加の全日研
修を2回実施した。第1回研修は「東大の人試問
題分析と指導方法」がテーマで、予め全員が東大
の入試問題を解く。傾向分析は当然だが、東大の
問題が解けるようになるためにどのような授業の
在り方を考えたらよいかを教科ごとに考え、全体
会で発表するという研修である。第2回研修は
「『学び合い』の効果と導入方法」がテーマで、
東大の三宅なほみ教授の企画・指導によるワーク
ショップである。ここでは教員が生徒になり、学
びの主体になることを体験する。「よく教える者
はよく学ぶ者である]と職員に言い続けている。
学びに集中する教員の姿を見ながら、「開智高校
にいる者全員が伸びる」?そんな「夢」学校を一
緒に創れそうな気がしている。
 これも夏期休業中だが、「教えのサプリ講座」
という教員対象のサプリを試行的に行った。授業
力を向上させる方法を考える講座である。教育誌
の私の連載や本校のホームページに広報したとこ
ろ、東京都、宮城県、長野県から先生方が参加し
て下さった。教員の学びの輪を全国へ広げたい。
 成熟した日本社会であるためには大人が大人で
なければならないと思う。そして学校は、大人も
子どもも学ぶ学校でなければならないと思う。
 下の開智高校の宣伝には「クリエイティブな思
考を育てる進学校」とある。まずは校長自身がク
リエイティブな思考ができるよう学んでいかなく
てはいけない。精進しよう。
クリエイティブな思考を育てる進学校
開 智 高 等 学 校
10年で伸びた学校 3年連続 東日本 bP
    慶現役合格者数158名  埼玉 bP
*塾生・保護者の方対象のサプリ講座・携帯テキストのご要望は
開智高等学校 企画広報室 048(794)4599
・・・・以上、2ページは開智高等学校の記事広告です。・・・・

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